いつものように
とってきた写真をネットでアップする
もちろん
馬鹿正直に時間を止めてやりましたなどと書きはしない
他人のパソコンを踏み台にして、なおかつ合成写真としてだ
だれも時間を止めてやったのだろうなどと思いしない
そんな馬鹿はいない
何故こんな事をするのか?
いかに超人的な能力を身につけた僕でも
やはり自分のやったことの成果を人に見せたくなってしまうものだ
仮にこれで警察が感づいたとしても
時間を操れる僕は
絶対に捕まったりなどしない
休日
いつものようにブラブラと街に出る
時間を止めて盗ってきたハンバーガーを食いながら
次のターゲットとなる少女を捜す
その時
目に留まった一人の少女
いや
目に留まったと言うよりは
引き寄せられたと言った方がいいだろうか
(・・・あの娘にしよう・・・)
見たこともないようなプラチナブロンドの髪
血の色よりもなお紅い瞳
なによりも
その周りに纏う空気が
彼女の存在を際立たせていた
「時よ、止まれ」
凍りついた街で
僕はその少女に近づく
間近で見ると
その少女の美しさがさらに目に焼き付く
世界で最初に降った雪よりもまだ純粋であろうその肌
時間を止めた世界ではしないはずの、甘い香りさえ嗅げた気がする
その少女の肩に触れようとした瞬間
信じられないことが起きた
「さわるな、変態」
鈴を鳴らしたかのような少女の声
音の全くないこの世界で
彼女の声は何処までも遠く響いてゆく
振り向いた彼女の紅い瞳が目に焼き付く
「紅い・・・瞳」
ああ・・・そうだ
どうして僕は忘れていたのだろう
この時間停止能力に目覚めたきっかけを
そう
僕はこの少女にあの時あったのだ
あの始めて時間が止まったあの場所で
そして紅い瞳をのぞいて・・・・・・
僕は・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「やっぱりこんなんじゃダメね」
「だから言ったじゃないですか、姫様の血は人間には強すぎるって
大抵、欲望が剥き出しになって自滅していくだけなんですよ」
「なによ、私が悪いって言うの?」
「いえ、そうは言いませんけどね・・・」
「まあいいわ・・・
世界の外側に行ける人間を
もう一度探しましょ」
・・・・・・
その後、この少年がどうなったかは、誰も知らない
The world〜時よ止まれ、君は美しい〜
fin
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